Acucela(アキュセラ社)創立10周年を迎えて

私がAcucela Inc.(アキュセラ社)を設立したのは2002年のことです。10周年を迎えた2012年が幕を閉じ、早くも3ヶ月が経とうとしています。毎年、大きなマイルストーンを積み重ねてきたわけですが、やはり、起業10年というのは、私にとって言葉では表現しきれない重みがあります。

2002年に起業した場所は、シアトルにある自宅の地下室でした。その時のメンバーは、私1人と帳簿などを助けてくれるパートタイムの社員1人だけだったのです。

今では、世界から集まった実績と経験あるメンバー80人が、本社と研究所で働くほどの会社に成長しました。これは、当時の私には考えられないことでした。

2012年、Acucelaはチーム揃って10周年を祝い、次なる10年の目標を新たに掲げました。それは、糖尿病の3大合併症の一つで、日本では、中途失明の第2位を占める目の難病「糖尿病性網膜症」への治療薬の研究開発です。

とりわけ、2012年は記念すべき出来事が多い年でした。ここで少し紹介をしたいと思います。

■ ARVOでの発表

アメリカには、ARVO(The Association for Research in Vision and Ophthalmology)という名高い眼科学会があります。アキュセラ社 は、2012年にARVOで行われたアニュアルミーティングで、ドライ型加齢黄斑変性治療薬、「emixustat hydrochloride」の臨床第2a 相試験の1人目の患者のデータと、加齢黄斑変性の進行を抑える「視覚サイクルモデュレーター」の開発について紹介をする機会をいただきました 。

■「Emerging Leader Award」を受賞

アキュセラ社 は、2nd Annual Innovation in Japan – U.S. Business and Technology Awardsにおいて、「Emerging Leader Award」を受賞しました。この賞は、これまでに目覚ましい成功を示し世界を変える可能性があるイノベーションを備えた、若くダイナミックに成長する起業家精神にあふれた会社に贈られます。

■「The Emerging Pharma Leaders of 2012」に選出

アキュセラ社でCFOを務めるデイブ・ローレンスが、Pharmaceutical Executive Magazineにより「The Emerging Pharma Leaders of 2012」の1人に選ばれました。

■「レパミピド」懸濁性点眼剤の臨床第3相試験を開始

私たちは、ドライアイ症候群の患者を対象に「レパミピド」という懸濁性点眼剤の臨床第3相試験を開始しました。これは、アメリカで2500万人、世界では2億7000万人が患う眼科疾患です。

■「The 2012 Entrepreneur of the Year award」受賞

アメリカには「Entrepreneur Magazine」というビジネスの最新トレンド、アイデア、イノベーションをテーマにした雑誌があります。光栄なことに、「The 2012 Entrepreneur of the Year award」に私がファイナリストとして選ばれました。

■ 社内イベント

数多くのイベント、講演、メディアで取り上げられる機会が増えました。言うまでもなく、社内でもいろんな行事をやりました。休日に社員とその家族が集まるパーティ、毎年恒例のサマーピクニック、ボランティア活動からコミュニティサービスなど実に様々です。

アキュセラ社にとって2012年は飛躍とイノベーションの年で、とても意義深いものでした。

今日に至るまで会社の成長に貢献してくれたメンバーに出会えたことは、偶然ではなく幸運だったのだと思います。私が求めたのは勿論ですが、彼らが参加する決意をしてくれたことは非常に感謝しています。また、14カ国から集まったメンバーはそれぞれに考え方や人との接し方においても文化的な違いがあります。そういった違いを1+1=2ではなく、何倍もの相乗効果につなげていくのが私の仕事だと考えています 。多様性を確保して維持することがイノベーションの源泉だと思っています。我々は日々困難に直面しますが、多様性のあるチームであるからこそ、様々なソリューションが提供されやすいと考えています。

起業することはできても、その事業を継続するのは容易なことではありません。日本人の私が海外を舞台に、この10年間頑張れてきたのは「アメリカだけでもなく、日本だけでもなく、世界中の何千万人の人の眼を薬で失明から守りたい」という強い希望があったからです。Acucelaに入社する社員全員に、私の理念を伝えることを心がけて来ました。私と働くメンバーは全員、それに共感してくれて、自分自身の目標や夢として、大いに 貢献してくれています。

みなさんにとっても2012年はそれぞれに実りがあったのではないでしょうか。2013年も4分の1が過ぎようとしていますが、あらためまして、みなさんにとって、心豊かに、そして健康で、素晴らしい 一年になることをお祈り申しあげます。