4月を終えて

いよいよ4月も終わり、1年の3分の1が過ぎました。

この4月は会議や講義の関係で日本との行き来が慌ただしい月でした。

とりわけ嬉しかったのは、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の石倉洋子教授にお招きいただいて、日吉校舎で後輩たちへの講義の機会をいただいたことです。英語での授業でしたが、修士の生徒さん達は大変熱心に授業に参加してくれました。

日本人として、世界に貢献するために自分にできることは何なのか。そして自分がしたいことは何なのか。若い世代のみなさんに考えてもらうきっかけになればと思いました。

自分が少しでもやってみたいことがあるのなら、まずはやってみて欲しいと思います。やってみるまでは、それが本当に自分のやりたいことなのかどうか分かりません。やってみたうえで、何かがちがうと感じたら、軌道修正をすればいいのです。これを繰り返していくうちに、自分が一番やりたいことが明確になってくると思います。

私は研究者、医者、そして起業家と、多様なキャリアを歩んできましたが 、「世界の人たちを失明から守る」というビジョンは変わっていません。

まだまだ私の挑戦は続いています。

今月ご掲載いただいた記事にてその一端をご紹介をさせていただきます。

Business Media 誠
4月3日:仕事をしたら“新薬”ができそうだ(前編):
1億2000万人の目を救う? まだ誰もつくっていない新薬の話を聞いてきた
 

4月10日:仕事をしたら“新薬”ができそうだ(後編):
日本で起業するのはなぜ難しいのか――アメリカのほうが優れている点
 

【日刊工業新聞】
4月25日 医療機器・医薬の面:「飲み薬で失明予防」に道
加齢黄斑変性治療薬 第二相後期/第三相試験開始についてご紹介いただいています。

Business Media誠は4月3日に前編その1週間後の10日に後編が公開されそれぞれ200人以上の方々がfacebookの「いいねをクリックしてくださいました 3月の日経新聞とウォールストリートジャーナルの記事もたくさんの方が読んでくださってとても嬉しく思います。

記事には書かれていませんが、Business Media誠の記者さんは左目にものもらいができていて、私の眼科医目線を若干恐れていたとおっしゃっていました。

今は経営者ですが、長年眼科医をやっていた性分でついつい気になります。それが伝わっていたのでしょう。処方された目薬をさしていたおかげで、だいぶ良くなったそうです。
実は、取材が決まったのは、取材の日の前々日くらいでした。直前でしかも、ものもらいができているにも関わらず、過去に掲載された私の記事をいくつも事前に読んできてくださいました。
今回の取材では、その記事を読んで疑問に思ったことを聞いてくださって、私にとっても、新しい発見がありました。

私自身、あまり意識はしていませんでしたが、ワシントン大学に移ったのが2000年、起業したのが2002年と、わずか2年で起業したことになります。周りから見ると、起業する準備のためにシアトルに渡ったと思う方もいるかもしれません。

アメリカに移籍する前から起業を計画していたのかと聞かれましたが、私としてはまったく考えていませんでした。たまたま縁があって2002年にスタートしたときは、1年間試してみてうまく行かなければ大学に戻ってもいいという条件でした。この一年の助走期間が起業という道を選択する上で絶妙なきっかけを提供してくれました。

3年ほど研究したら日本に帰るというのが基本で、万一、アメリカの大学で教員として仕事をやり続けるのであれば残ろうかなとは考えていましたが、起業するつもりでアメリカに渡ったわけではありません。

私の人生はかなり幸運に恵まれていると思います。そういった意味では、きっとなんとかなるだろうという考え方が自然に身についてきたのかもしれません。比較的、努力するのも苦になりません。努力は決して裏切らないと考えています。努力すればするほど必ず自分をより高めてくれます。 こういうことをずっと積み重ねて来れたので今の私があるのだと思います。

日刊工業新聞の取材についても少しお話をしたいと思います。 記者さんは、もともとサイエンスのバックグラウンドをお持ちで、ドライ型加齢黄斑変性治療薬の化合物のメカニズムを詳しくご理解いただきました。話の中で、神経細胞の試験受託ビジネスから創薬ベンチャーに転身したことには、かなり驚かれていました。これらについては記事に詳しく書いていただいています。

ベンチャー企業が成功する過程でこういったビジネスモデルの転換はあると言われています。ダーウィンの進化論ではありませんが、最も強いものでもなく、最も賢いものでもなく、企業においても最も適応力があるものが生き延びるのです。私がビジネスモデルの転換を決断できたのも、研究者、医者、そして起業家としてのキャリアの転換の経験があったからかもしれません。

こういったお話をさせていただくたびに、何かを極めることの大切さが身にしみますし、次世代を担うみなさんには、失敗を恐れず、変化をいとわない挑戦し続ける心構え を大切にしてほしいと思います。

詳しいことは、ビジネスメディア誠や日刊工業新聞をお読みいただければと思います。