視覚とウェアラブルデバイス

9月と10月のPRESIDENT Online《開眼!「朝令暮改」仕事術》では、同じく目の世界で挑戦するジェイアイエヌの田中社長に対談の時間をいただいた。

東京のオフィスに伺ったのは8月だから、「JINS MEME」を発表されてから数ヶ月後のこと。ウェアラブルデバイスの試作品に興味があったので、お言葉に甘えて「JINS MEME」をかけさせてもらった。これはスマホと連動したセンサー付きのメガネで、眼の動きの変化により、自覚が難しい肉体と精神の疲労度を割り出すことができるそうだ。「JINS MEME」によるとその日の私は少し疲れ目と出た。「目は心の窓」とか「目は口ほどにものを言う」と言われるが、疑いある病気に対して目は医師の診断ポイントの一つでもある。

このように、疲れを自覚する前に教えてくれたり、眠気をアラートしたりといったコンディションを可視化するメガネもあれば、高度なエレクトロニクスを使い視機能そのものを補助するメガネも開発が進んでいる。個人的にたいへん興味深い分野だ。

去年の11月にニュースになっていたのは英オックスフォード大学が開発している「Smart Glasses(英語)」。これは、視力に障害がある方たちのために開発されているメガネで、わずかな視力でも物体を認識できるよう補助をしたり、標識を音声で読み上げたり、現在位置を確実に認識し、地図情報と照らし合わすといった機能が備わっている。

左右のフレームのコーナーに実装されたカメラがメガネのレンズ上の透明のLEDディスプレーに視覚情報を表示する。わずかな視力でも認識できるように映像が映し出される。位置情報を提供するGPS、メガネが向いている方向を示すコンパス、物体の角度や回転の速さを計測するジャイロスコープも備わっているので、単に標識を音声で読み上げるだけのナビゲーションをするのではなく、正確な位置情報を提供する。

今年の6月、中途失明された方を対象にオックスフォード大学内でテストが行われ、開発の進んだ「Smart Glasses(英語)」がお披露目になった。目の前にいる人の表情がわかることはもちろん、いつも自分をナビゲートして障害物から守ってくれるパートナーである盲導犬の姿をはじめて見ることができた喜びを語る参加者もいた。

医療が長寿を可能にし、人類の寿命は年々伸びている。長生きをすれば当然のことながら感覚器系は衰える。より豊かな「クオリティ・オブ・ライフ」を実現するためにも、感覚器系をサポートする技術は今後ますます重要になる。

中途失明をされた方たちの多くは光と動きがわかる程度のわずかな視力で生活をしなければならない。それを補助するための技術が限られている中でのオックスフォード大学の取り組みは今後も注目していきたい。