『開眼!「朝令暮改」仕事術』のこぼれ話

5月からPRESIDENT Onlineで『開眼!「朝令暮改」仕事術』というタイトルの連載をさせていただいている。つい最近、テラモーターズの徳重さんとの対談が前編中編後編と全て公開になったところだ。

徳重さんとはこの連載で初めてお目にかかった。これまでいろんな方から「窪田さん、テラモーターズの徳重さんに会われたことありますか?」と聞かれることが多かったので、連載の第一回目の対談にお声がけをさせていただいた。その度に徳重さんについて人物像をうかがってきたので、間接的には存じあげていた。そして今回の対談では起業時のことやチームのことなどいろんな話を伺った。そもそも私の生き方や考え方をしたためる連載ではあるのだが、こうした対談を通してたくさんの方たちに私がインタビューしていくというのもなかなか面白いのではないだろうか。と思うほど意義ある話ができた。

徳重さんの話の中で印象に残っているのは、失敗に打ちのめされながらも、挫折のどん底から這い上がった経験があることだ。私が会ったことのある成功している起業家の多くは、数多くの挫折や失敗を経験し、乗り越えて来ており、まさに徳重さんもその一人である。さらに徳重さんが素晴らしいのは、若い頃から偉業を成し遂げた人たちの生き様を多くの書籍を熟読することから学んできたことである。

経験するだけでは終わらない。結果を出して積み重ねる。歴史上の偉人に出来たのであれば、今の時代を生きる自分にもやれる。そういう信念を自分が持つだけではなく仲間にもそれを求める。そんなリーダーのもとには気骨ある人材が集まってくる。

不屈の精神のつくり方を説くわけではないが、起業家が素地として失敗に対する耐久力を備え持つことは絶対だと私は考えている。失敗しても乗り越えるという経験を積み、失敗に対する免疫をつけていく。失敗なしに大きな成功は滅多に望めるものではないことも経験でわかってくる。大きな仕事が出来る人、出来ない人の違いはここにあるのではないかと個人的には思う。

徳重さんとの会話の中で、 競争優位性の高いベンチャーの出現により10年も経てば市場は淘汰される、グローバルの厳しい競争環境についても話題になった。今の時代、大企業に入ればそれだけで人生安泰とは言えなくなった。それでも大企業を選ぶ人は多い。なんだかもったいない気がしてならない。数年後にその会社が倒れたとしても、自分の足で歩けるようになるのか。自分にはどういう生き方ができるのか。自分を取り巻く環境がどんなに変化をしようとも立ち行ける能力や付加価値をつけることができる道を選んだ方がいい。

学校を卒業したばかりではっきりとしたキャリアの設計が出来ないこともあるかもしれないが、卒業するまでに自分のロールモデルとなる人物を見つけておく事はできるだろう。それは、自分の専門分野で活躍している人物かもしれない、あるいは、歴史に名を残した人物かもしれない。自分が生きている今日、リアルタイムでロールモデルの偉業を見ることができるのはとてもワクワクするのではないだろうか。

ロールモデルを見つけることのほか、私がとても大切だと思うことは、自分も努力すればそういう人材になれるかもしれないという自信をもてるかどうかである。私が幼少期にそういった自信をつけた経緯があるからではあるが、初等教育や幼少期にそのきっかけを得ることができるかどうかが後の人格形成に影響するのではないかと思う。

名だたる実業家の多くは挫折を乗り越えて成功を収めてきた。そこには一本のしっかりとした軸があり、いかなる状況においても貫く強さがにじみ出ている。歴史に名を残す先人から学べることは思いのほか多く、この対談を終えて、私も歴史の本に興味がわいてきた。読書は人並みにはしてきたつもりだが、研究者という名のもとに読書よりも顕微鏡をのぞくほうが好きだったことは否めない。

自分がインタビューを受ける時は、事業のこと、開発中の新薬のこと、起業にまつわるストーリーなどを自分の言葉で発信していくのだが、自分が他の誰かを取材する機会はそうそうない。同じく世界市場で戦う起業家との対談は、また少し違った観点でものを見るきっかけになり、「朝令暮改」の連載で何回かおきにやってくる対談を心待ちにしている。